神奈川県 津田辰雄

-鏡には 映らぬ人の真心も 
さやかに見ゆる 水茎の跡-

書道は人間形成の修業の道であるぞよ、と、
自分に強く言いきかせ、この道に没入して早四十年余りになります。
卒業証書やあらゆる大会の賞状や、その他数多くの記名は毎年数百枚にもなります。
その都度、人名には特に心をこめて“正しく美しく”を心掛けて書いています。仮初めにも誤字やら下手な文字と思われるような失礼な文字にならないよう、慎重に書いています。

-水茎の跡 恥ずかしと思う哉 
心の映るものと知りては-

書道の修業と同時に武道(剣道)の修業も指導者として励み人間形成に共通するものと強く感じています。
団旗や使用手拭等にも毛筆で染め抜いています。
齢卆寿を過ぎても健在で活動できることを有難く思っております。
老人の戯言で失礼いたします。
レポートになりませんで申し訳ございません。


 

青森県 五日市武男 

作品に構成シートA・B・Cをのせて観察して見ると、実に合理的に文字の配置が組み立てられているのが
わかります。 
そして天地の余白・行間の余白・文字間の余白がいかに作品に大きな影響を与える事がわかりました。 
いままでは、知識として多少は知っていましたが、これではっきり納得しました。 
これからは、手本の見方も重要であると同時に、書作にあたっては緻密に計算し書作しなければと思いました。 
今回、構成シートにより新しい発見ができたこと大であります。

 



三重県 佐々木みさゑ

臨書部の学習の筆を休め、構成シートで宗師の作品を拝見する。 恐ろしい程に完璧である。
宗師の歩まれた、奥深く長い書の道の道程が忍ばれます。

一文字目の力強さ、二文字目のなんともいえない、しなやかな線。

一行目と二行目の強弱のバランス、最終文字のおさめ方、墨量の用い方、落款の位置、本文とのつりあいを心された文字は絶妙である。

たくさんの歴史の文字を、極められたその作品は一点一畫が余白からぬけ出したように、その技は、
魂をゆさぶる力強さと、文字の美をこよなく愛し錬磨された宗師そのものであると思いました。

 

 


大阪府 石田雅敏

作業1で観察したこと作品1 全体の中心、行の中心も通っているのに何となく二行目の左端余白が広く見える。しかしその広く見える分、落款が引き立って素晴らしい。また太い文字とほっそりとした文字が並んでいて対照的であり、明暗差も歴然としている。
潤滑な文字と渇筆の文字とも対比が鮮明で、重厚さと軽妙な渇筆の調和も美しい。

作品2 それぞれの行の中心はよく通っているのになぜか今度は左の余白が作品1より少なく見える。
落款は左下に雅号と落款印を二行で仕上げている。主文の文字には一文字ずつ遅速緩急の表情があり、縦・横画にも抑揚・節が加えられ重厚なリズムで作品の風格をなしている。入筆、転接等、蔵峰でゆっくりとした筆運びがかえって作品の力強さの魅力になっている。太く豪快な出だしに次ぐ文字空間を清々しく生かした間の取り方が品格すら表している。

作品3 全体に細身の文字乍らすっきりとした中にも筆勢の伸びやかさがあり行間も軽やかでパワー溢れる作品になっている。一文字中の太細の組み合わせが作品構成全体に余白の広がりを見せ、紙面空間が明るくなり軽快な筆捌きから生じる穀然とした線質の表情には襟を正させるものすら感じる。

作品1,2,3共に詩文十四文字を二分して七文字ずつにすれば均衡ある紙面構成となる。しかし、作品としてのフィーリングは窮屈で余裕がなくなるので、敢えて一行目を八文字、二行目を六文字に分けて二行目の下部に余白を生み出している。これが作品に余裕と豊かな表情を創出しているものと思われる。
横に並ぶ二行目の途中の文字もわずかに大小ずらすことで調和を図り作品も見事なまでに芯が通されており、揮毫者のメンタルエナジーを強く窺わせるものとなっている。各作品の真の黒色、色合い、濃淡等の変化は印刷のため十分読み取れないが潤滑、渇筆、線の肥痩の変化などからある程度判別することができる。六朝体のどっしりとした、おおらかで力強い書体を体現しているこの作品は入筆部、運筆途中で変化する速度、転接部の様相、終筆部の収め方も然ること乍ら、一文字目の始筆から仕上げの落款に到るまで意前筆後の技が一貫して作用しているようで感嘆せざるを得ない。お見事である。将に、観峰先生は生前には一週間二千枚の条幅作品を書き上げて尚、一枚も失敗作はなかった空前絶後の近代習字の歴史を画する人でもあり、作品は絶品且つ神品中の神品とも言うべき他群を抜く存在である.

 


茨城県 新谷幸雄

構成シートを使って中心やコントラストはとても良い勉強になりました。
作品1では文字の線の太い細いについてDVDで繰り返し観察しました。
隣り合う最初の「星」と二行目の最初の「餘」の文字の線の太さが倍以上あるのにお互いの文字を引き立てるのに役立っています。作品2では行の中心のとり方について観察したのですが、「太和」の二文字が少し左に寄っているように感じるのですが落款との関係でしょうか。
作品3では文字全体を観察しました「清」と「満」と「海」の三水三文字が上部に集中し「満」と「海」は横に並び画数も多いのにバランスよくまとめられています。

 

 


沖縄県 武田晴峰

全ての作品に作品の中心、行の中心、字の中心が確立され、字と字の対照、対比、明暗による文字構成、そして落款のバランスの良い入れ方に基づいていることがわかり驚きました。

これからはこの構成シートを大いに活用し自分なりの立派な揮毫控えシートを作り作品の創作活動に力を注いで行きたいと思います。

書錬部(宗家)による指導は非常に素晴らしいし勉強になりますので益々のご発展と御指導をお願いいたします。
勝手なお願いではございますが、課題の出し方が繁雑過ぎて理解にかなりの時間を要しますのでもうすこし単純に出題等していただけたらと思います。今後共どうぞよろしく御指導のほどお願い申し上げます。

 

 


岐阜県 長谷川豊子

「作業1」の実行が本番へ向かう前のリハーサル、予行演習であることを学びました。今まで字形を決めたら大体の構成を頭に描き、習慣的に配置して書き進めながら全体のバランスを修正して作品を作っておりました。良い作品が出来ないはずと反省しております。特に構成シートBの作業がコントラストを決め、全体のバランスを見ながら文字構成する上で大切な作業であることを知りました。
落款の件はホームページで勉強したいと思いましたが、検索できませんでした、作業のミスかと思われますので再度やってみます。

 

 

 

三重県 前田千枝子

創作の書を産みだすには自らの努力で種から成長して行かなければ達成できない事を痛感しました。
今回構成の研究でシートを重ねて観察する事を初めて経験しました。
作品の中心・行の中心・文字の大小・線の太細・偏と旁の微妙な変化・余白など今までこうして見た事がなかったので落款の位置も勉強になります。

作品@にしてもシートAで中心線が紙面の真ん中だと右列の文字が大きく感じるがB―1シートだと中心線が少し右になっているだけで対比が同じように見える。自運への道程で優れた作品を見て鑑賞眼を高める研究の手始めとして時には書道展にも行きますが勉強不足で何が書いてあるのか、わからないような作品が多くただ圧倒されます。機器音痴でいつまで続けられるか心配です。

 

 


北海道 大沢静子

過去の勉強では、宗師の作品を見て感じて書く以外にありませんでした。
この度、構成シートによって細かく見る事で改めて文字の軽重や大小が見えてびっくりしました。
特に落款が二行目の下に書かれた作品の行の中心について、右が広くとられている意味が、最終画の重さにかかわってくるのだろうと意識させられました。

また、自分で揮毫控えシートを作ることは作品を作ると同じで本当に難しく思います。書体を一作にまとめることは、特に時代や書風の違いによって異なることを考えると途方もなくすごい事を学ぼうとしているのではとハードルの高さを実感しています。

 

 


北海道 石井美子

構成シートA・B・Cを重ねて作品を観察しますと。
実にバランスよく書かれていることがはっきりとわかりました。
作品づくりに当たっての基本はこのシートを上手に活用し、取り組みつつ今までに習った技法を応用し、試してみることが自運の自信へと繋がると。
又作品を多くみて鑑賞眼を高め知識や教養を広げていくことも大事であるとも…。
常日頃、忙しいことを理由に努力を怠っている私にとって反省と刺激になっております。
楽しみながら「この作業1」に取り組めたらと思っております。

 

 


京都府 中川容彰 容璋

作品1・2・3共に行の中心より上部の字は比較的大きく、字間も広く、下部の字は小さめで字間も狭い。これは、鑑賞者の目の位置を考慮してのことと思われる。
軸物として床の間に掛けて鑑賞する際、目の位置は作品の下の方にあるため、遠近感により、上部を大きく、下部を小さくしないとバランスが悪く見えるためと思われる。
近年はホール等で展示される場合もあるが、何れにしても、どこに展示するかまで考えて作品づくりをすると、より良い作品が出来ると思う。また落款も同じで、本文を書く前に落款を入れる場合を考えておいた方が、より完成度の高い作品が出来ると思う。
観峰宗師の揮毫されるのを何度か拝見させて頂きましたが、今から思うと、短い時間の間に字形・字の大小・落款の位置等、頭の中で計算されて書かれていた事などさすがにという思いがします。

 

 


福岡県 中村純子

紙の中心が文字の中心でなく落款の位置により左右の余白が異なり文字の中心が貫通している。

・六朝体書風の重厚でどっしりとした書線で墨のにじみ、かすれ等で作品が完成している。
・墨つぎも横に並べず含ませ方も同じではなく途中では軽くつぎたす程度。
・画数の多い文字は細く少ない文字は太く文字の大小、間隔、墨の濃度と速度、紙面全体の配置、空白、全体に安定感、調和が感じられる作品となる。
・作品成作映像の動画指導を見られたらと思います。

 

 

福岡県 三藤すえみ 

揮毫控えを制作した事がなかったので、最初は少し驚きでもありました。
書写技能のみに頼っておりましたがシートによる構成に一幅の作品に秘められた対照、対比、 明暗が現れている事に感銘すら覚えました。一定のルールの上で成り立っている事を再認識しました。
自分なりにシートを参考に構図を考えました。
条幅を書く際に左右余白が気になり落款がとりにくかったのですが構図作成により少し解消されました。
このシートを元にこれからも自作の活動を産みだせたらと思います。文字の趣や味わいを表現できるよう努力していきたいです。
 

1429 鹿児島県 西之園明子

作品の中心と、行の中心について
これは、落款の位置によって多少の違いが出てくる。
落款を左側に書く場合、作品の中心は少し右に寄り、右側と行間の余白が少なくなる。

落款を下に入れる場合は左側が狭くなる分、右側と行間の余白が広がる。

さらに左右の余白を考えて行の中心をとらないと、行間が窮屈になったり、広くなったりと、まとまらない。
 
コントラストについて
これは書く作品の語句により、いろいろと工夫しなければならない。
まず、作品の意味やイメージにより、墨色や、紙面に対する文字の大きさ、書線の太細など考える。
さらに、一つの作品の中でも、画数の違いによって、文字の大小、肉づきなどに変化をつけて、全体のバランスを見る。

これらに、落款の位置や、内容を工夫し、更に書体を考えて、引き締まった印象や、ゆったりした印象の作品作りをする。
構成シートを観察して。今まで半切を書く場合に初歩段階である構成の錬り方が、いかに足りなかったかと、反省させられる。

 

東京都 勝俣節子


今まで作品の添削を受けた時、よく行の中心がずれているとの指摘を受けました。でもどうすれば良いのか分からず我流であれこれしてました。
今回の学習でその方法が分かり大感謝です。コントラストも然りで、作品を練る上で更に自分の考え方、見方に深みを加えて頂ける気がしました。落款の位置により左右の空間に違いがあることも大変参考になりました。
新たな書錬部の講座内容は今まで私が知りたかったことが分かりやすく説明されていてほんとうにうれしいです。
これからの内容にも期待しています!!

 
大阪府 加藤佳顕 

構成シートをそれぞれの作品に重ね合わせてみますと、どの作品も正確に余白部分が取れているということがわかります。
また、全体はもちろんのこと、部分的に文字一つとっても中心がぶれていないことにも気付かされます。
これは、今まで宗師だからということで簡単に思っていましたが、宗師だからこそ自筆の揮毫控えを携えていたことを知り、感動しました。
何をするにしても下準備が必要なことを痛感しました。
今後、特に条幅作品を作成する場合、揮毫控えの手順を参考にして、実際の作品の作成に役立てていきたいと考えております。
 

北海道 中村康子

作品1,2,3とも漢字二行書きで、七言二句を八・六に配列している。
作品1と3は、あらかじめ落款の位置を想定して二行を右へよせた構成となっているが、
作品2は、雅号だけのこともあり、二行目の下に入れている。
当然のことながら、どの作品も行頭と行の中心をそろえ、紙面左下の余白を特に美しく残している。漢字作品であるため、変化を出すのが比較的難しいと思われるが、三回程の墨つぎをポイントとして、文字の大小、墨量の変化、線の太さに変化を求め、一貫した六朝風の書体によって統一されている。その際もちろん、墨つぎ箇所が左右並ばないように、払いやはね等がぶつからないように配慮している。なお、墨色の変化は、この紙面では、よくわからなかった。

 


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